なぜ、営業なのにU.S.CPA(米国公認会計士)を勉強しようと思ったのか? 1つ目の壁編

なぜ、営業職でキャリアを積んでいた私が、U.S.CPA(米国公認会計士)の勉強をしようと思ったのか。それは、主に以下3つの理由からです。

  1. グローバルで通用し、かつ需要がある専門性が欲しかった
  2. 社内外で通用する肩書が欲しかった
  3. 中長期的に経営に近いフィールドで働くための、内的(知識)・外的(肩書)な取っ掛かりとしてちょうど良いと考えたから

(今、思うと1~3→U.S.CPAとロジック的にうまくつながらない部分があるなーと思い、実態は1~3を抱えて悶々と仕事していた毎日の閉塞感をなんとか打開したい思いが強く、えいやーでお金払って逃げれなくして、勉強始めちゃったという感が強いですが、世にどこにでもい流ような一人の営業マンが悶々と抱えていたリアルさという点でも捉えてもらえればと思います)

私は、大学こそ、商学部で必修の授業で簿記や会計論の入門を勉強したことはありましたが、会計のことは、正直、電卓叩いて、細かい数字の突き合わせをする「めんどくさい、陰気な学問」と捉えて、距離を置いていました。笑

社会に出てからも、新卒から営業職に配属されて、「会計」とは遠い場所でキャリアを積んでいました。経理や財務、監査の部署から細かい質問が飛んできたときは、「こっちは忙しいのに、ごちゃごちゃ細かいことうるせーな。この陰キャラ集団が」くらい思ってました。(関連する職業の方申し訳ございません、、、)

そんな私が、20代の貴重な時間を年単位で費やしてまで、U.S.CPAを取ろうと思ったのか。

それは、私が機械品メーカーの海外営業として仕事をしていく中で、3つの壁にぶつかり、その3つの壁を壊す共通解として、「U.S.CPA」の勉強を通じて得る知識であり、肩書が適切であると考えたからです。

1つ目の壁:グローバルな舞台で戦い、そして勝つための私の武器は何?

私は、アジアから中東を担当しておりました。各国には、現地法人があり、現地のお客さんとのやりとりはその現地法人の方々がやっておられます。私の立場は、その代理店の方々を後方支援する役目として、見積の作成や技術的な仕様の説明、納期・価格・船積の調整、大規模プロジェクトにおけるプロジェクトマネジメント、さらには現地法人と共同で現地での販売戦略の立案を担当していました。

割と求められる役割をこなしていましたが、2年くらいたったある日ふとこう思いました。

「あれ?自分の立ち位置って中途半端じゃないか?何を持って、グローバルな舞台で、自分の必要性をアピールしていけばいいんだ?」

海外営業のポジションは、現地と社内の各部門との調整役です。なので、利害関係が時に真っ向からぶつかり合う各ステークホルダーに対して、方向性を示し、調整し、協力を得つつ、引っ張っていくリーダーシップ は求められ、鍛えられますが、一方で「何のプロなのか」と言われると、何のプロでもない環境だと思ったのです。

そこで、自分の中での専門性を磨きたいと思い、最初に思いついたのが「マーケティング」でした。市場にも触れており、現地での販売戦略立案もやっていたので、この道を突き進もうかなと思ったのは、ごく自然かと思います。

ただ、一方で「海外市場でも通用するマーケティングのプロになれるのか?」という疑問が湧きました。マーケティング =顧客理解、ですが、日本人の自分が、例えば、シンガポール人・タイ人・中国人・クェート人・インド人等々、世界の他の国の人を真に理解できるのか?適切な判断ができるのか、と問うたとき、自分の中の答えは「No」でした。事実、仕事をしている中でも、「この人達なぜこんな行動をするのか?」と疑問に思ったことが、多々ありました。

もちろん、マーケティングフレームワークは世界共通の部分があると思いますが、そこから一歩・二歩先に進んだところ、圧倒的な違いを生み出す仕事をするためには、やはり乗り越えるのが非常に難しい国境の壁・人種の壁があるのではないかと思いました。(ここは、マーケティングのキャリアを歩まれている方に、ご意見をお聞きしてみたいです) もちろん、本当に優秀な方はそんなもの関係ないかと思いますし、日本人だから日本人のことを全て一番わかっているというわけでもないので、同じ人種の人間以外が理解不能だ、ということないと考えましたが、自分の中でどうしてもビジョンが見えませんでした。

また、目指すべき「マーケティング 」の職域を狭義の販促とせず、製品開発まで含めた職域とした場合でも、①個人の能力、②組織におけるポジショニング、という点でも突き詰めていくことが難しいと感じました。①の理由としては、製品開発に踏み込んでいくためには、どうしても技術的な深いバックグラウンドがないと話についていけません。特に、B to Bの機械品ということもあり、Pure文系の私にとっては、本当に細かい技術的なポイントは?です。ただし、本当に良い製品を作り込むためには、全て完璧に分からないまでも技術的な当たりをある程度深いレベルでつけられる、それを可能にする製品知識がなければ、製品のビジョンも浮かんでこなければ、エンジニアの方も巻き込めず、話にならないと考えました。また、②の理由については、①の理由とリンクしますが、私の会社では「細かい技術的な点・製品のことがわからない事務系の奴らに製品開発なんかできるわけがない。黙ってろ」という暗黙の雰囲気に満ちており、製品開発については、マーケットインとは程遠い、エンジニア主導・プロダクト主導になっています。(この点もマーケテイングのキャリアを歩まれてる方からすると、異論・反論べき論からの乖離あるかもしれませんので、その点はご容赦ください)

そのため、マーケット側・プロダクト側の両極端において、行き詰まりが予想できたため、マーケティングの道は諦めることにしました。(転職も考慮すれば、また違った道があったかもしれませんがあくまでも、社内でのキャリアパスを見据えていたので、この選択となりました)

一方、ある日、「会計は世界共通であること」と「経理・財務職の人が若い人も含めてどの部署よりも駐在していること」にふと気がつきました。

私の会社は、IFRSで財務諸表を作成しています。また、数字は、万国共通です。なので、タイでも、中国でも、どこでも、出てきた「Net Profit: USD 100」は誰にとっても「Net Profit: USD 100」になり、解釈の違いや理解の違いも生まれないことになります。

そして、私の会社では、ポジションは様々ですが、各現地法人に必ず最低一人、経理・財務職から駐在者が出ています。また、現地法人から駐在者の数を減らすとなった場合にも、削減対象として必ず最後になるのが経理・財務職です。(ちなみに営業職は「現地人でも出来るだろ。というか現地化させなきゃいけないだろ」となり、真っ先に削減対象になります。笑) ある時の出張中の会食で、経理として駐在されてる方に、「経理・財務からすごい駐在者出てますよね?なぜですか?」と聞いてみました。すると、回答は「まぁー、最終アウトプット(財務諸表)の雛形は各国共通だし、業務的にも国別で大きく異なることはないから、人を出しやすいんじゃない?あと、現地法人のお目付役として、本社の人間は絶対誰か必要になるから、その時に、カネの流れを見る経理・財務はお目付役としてもピッタリだからじゃないかな?」という回答でした。

この回答が自分の中で、とても腹落ちし、U.S.CPAの勉強を始める大きなきっかけとなりました。つまり、AccountingとFinanceをバックグラウンドとすれば

  1. Academicな専門性が身につく
  2. その専門性はグローバルな舞台でも通用する
  3. その通用する専門性は、強い需要がある(=日本人でも、現地でPositionを得られる)

となり、自分が感じていた壁を乗り越える解になりうると、行き着きました。(今振り返ってみると、ロジックの詰めが甘く、目の前で見つけた好例を全てとして、飛びついた感は否めないですが、、、笑)

そこで、「AccountingとFinanceを勉強できる」「それも、できれば英語で」という点で、色々Googleで調べた結果、U.S.CPAに目を付けた次第です。少し長くなってしまったので、2つ目以降の壁については別の機会でお話ししたいと思います。