U.S.CPA(米国公認会計士) REG攻略法

REGに最短で合格するために、私が受験して気づいた点をご紹介します。

[全体戦略]

「REGは税法勝負!」とよく言われますし、私も同意です。が、かといって商法を無視して良いわけではありません。本試験のMCの半分くらいは、商法から出題された感覚です。なので、「商法を軽視せず、税法のBasisの考え方と所得税の計算の流れ(何をしたらどう課税されるのか)を完璧に理解する」これが、REGの基本戦略になります。

[使用した教材]

アビタス提供のテキスト・MC/TBS問題集・直前対策講座・AIECPA Released Questions・AICPA Sample Test (これはどの科目も変わりません)

[勉強の流れ]

REG1 講義受講→REG1 MC問題3周回→REG2 講義受講 → REG2 MC問題3周回 → REG2 TBS問題2周回 → REG1・REG2 MC問題4周目 → 模擬試験受験(72点) → AICPA Released Questions/Sample test実施 → REG1・REG2 MC問題5周目 → 本試験受験 (92点)

[学習期間]

3ヶ月(2020年4月~2020年6月) 平日:2~3時間、休日:10~12時間 (含むGW休暇)

*新型コロナウイルスの自粛でやることなく、結果的に勉強が捗り、短期間での合格につながりました。

[商法]

ビジネスを行うにあたっての前提となる法律(契約とか不動産譲渡、破産等)に関する内容です

アビタスが言うには、Chapter 11 Professional Responsibilitiesのところの出題頻度が上がっているみたいですが、本試験でどこかがいっぱい出たという感覚ありません。幅広く満遍なく出たなと言う感覚です。ちなみに、アビタスのMC問題だとChapter 9 Business Structureの分量が圧倒的に多いのですが、本試験でここが多かったという感覚はなかったです。

捻った問題はなく、割とストレートな一問一答に近いイメージの出題だったので、MCをこなして、アビタス MC問題ならば苦なく答えられるレベルに達すれば、十分です。ちなみに、私は商法のアビタスTBS問題は一回も解かなかったのですが、本試験で「困った!」とならなかったので、REG1 商法のTBS問題演習は不要だと思います。アビタスの先生も仰られていますが、本試験のTBS問題はREG2 税法からの出題になります。

あと、アビタスのREG1 テキスト Volume 2に過去の試験範囲(Commercial Paper・Insurance・Legislation related to Labor Law)が3点記載されており、「基本的な知識として参照しておくことをおすすめいたします」と書かれていますが、私は全く見ておらず、本試験含めて困らなかったので、学習はMustではないと思います。

[税法]

アメリカで徴収される税金に関する内容です。基本的には企業と個人(と信託と遺産)の所得税に関する内容で、何をどうしたらこういう計算でどれくらい税金払わないといけないか、という理解がメイン論点になります。(試験範囲的には、Gift Tax(贈与税)とかEstate Tax(遺産税)とかその他細かいところも含みますが、メイン論点ではありません)

いろいろ細かい話が多く(Social Security BenefitsはProvisional Incomeが$25,000未満の所得者は全額Gross Incomeから除外可能で、$60,000を超える場合は、85%をGross Incomeに算入等)日本人にとって馴染みもないので苦しいのですが、そもそもの税金の徴収に関する哲学(税法を作る側の思い)を理解すると助けになります。

つまり、納税者側からすると

  1. 課税所得は少ない方が良い(総所得に算入されない/控除として認められる)
  2. 税金の支払いは遅い方が良い(どうせ払う場合でも、後で払いたい)

となるので、税法は納税者を逃さないように

  1. 課税所得を少なくさせすぎない。そのために
    • 所得はできるだけ課税総所得に算入させる。算入させない場合でも、制限を設ける
    • 控除はできるだけ認めない。認める場合も、制限を設ける
    • 所得受取時に非課税、費用支払時も控除可能と、どちらタイミングでも納税者に有利なことはさせない。どちらかが納税者にとって有利であれば、どちらかは課税対象とする。
  2. 納税者がお金を持ってる時に、即徴収する

という、仕組みになっています。1の哲学がよく出ているのが、代表例が年金に関する部分です。公的年金と Roth IRAは、年金費用の支払い時は控除不可ですが、受取時は公的年金は自分が払い込んだ部分、Roth IRAは収益も含めて全額非課税になります。IRAの場合は逆で、年金費用支払い時は控除可能で、受取時課税になります。また、IRAとRoth IRAは、年間の控除できる額に制限が設けられています。2の哲学がよく出ているのが、前受金と前払金の取り扱いです。発生主義を使用している場合でも、前受金を受け取った場合、受け取った全額を課税所得に算入(お金を持ってる時に税金を払わせる)するのですが、逆に、前払金を支払った時は、期間分の費用分しか控除を認めない(=発生主義通り)処理になります。ここら辺の税金を作る側の哲学を知ってると丸暗記ではなく、ストーリーを持って覚えられるようになるので、理解が早くなります。

また、Basisについて、Basisの考え方は基本的に共通です。相手からもらった金額の合計が「Amount realized」、相手に引き渡した時点の当人の引き渡し資産への投資額累計が「Basis」、Amount realized - Basisが「Realized gain or loss」、Realized gain or lossのうち、所得税計算上認識するもの「Recognized gain or loss」となります。ただし、「個人」と「パートナーシップ」と「企業」「S-Corporation」と主人公が変わると、何を「Recognized gain or loss」として認識するかの計算であり、考え方に違いが出てくる時があり、ここをしっかり抑える必要があります。アビタスでは、単元ごと(例えば企業での処理の場合・パートナーシップでの処理の場合)の縦軸の説明のみで、あるテーマの単元を跨いだ横軸での説明(例えば、分配時のパートナーシップ・企業・S-corporationの違い)は全くしてくれないので、自分で整理する必要があります。本試験では、主人公が目まぐるしく変わるので、この横軸での違いの理解が浅いと、ごちゃごちゃになって、失点に繋がりますので対策が必要です。

内容はかなり細かいのですが、ここは、パートナーシップと企業とS-corporationの性質の違いを抑えた上で、まずはパートナーシップと企業での取引の仕方の違いをしっかりと押さえ、その上で、S-corporationはどういう時に企業側での処理に寄せていくのか、と整理するとわかりやすくなると思います。

パートナーシップ:個人の延長としての存在のイメージ。そのため、個人⇄パートナーシップ間の取引は、基本的にGain/Lossを認識しない。(パートナーシップとの取引は恣意的な取引が可能がやりやすいため、Gain/Lossの付け替えが可能になるため)

企業:個人とは別存在のイメージ。そのため、個人⇄企業間の取引においても、経済実態を考慮し、全部ではないが、Gain/Lossを認識していく。

S-corporation:基本的にパートナーシップと同じだが、要所要所でcorporationの名の通り、企業と同じ処理をする。

あとは、Chapter 15のTax return preparer's responsibilitiesのところも本試験で出てきましたが、細かいところ覚え出すとキリがないし、そんなに効率が良いとも思えないので、MC問題含めて問題出てきたところ覚えるくらいのテンションで良いと思います。個人的に、問題演習で何回も見てかつ本試験でも問われたのは、「Tax preparerは申告書に重要なエラーを発見した場合は、すぐさま顧客に通知して、とるべき手段を進める。顧客が適切な手段を実施しなければ、関係を続けるべきか検討する。勝手にIRSに通知したり、修正申告したり、契約を打ち切ることはしない」と「いかなる理由においても、顧客のCheckをNegotiationしてはならない」という2点です。

REGは苦しいですが、恐らくほとんどの人にとって、最後の科目だと思います。あと、少しで、全科目合格です。この記事が、皆様の一助になることを願っております。