日系メーカーの若手海外営業ってこんなお仕事

U.S.CPAに合格した私ですが、世間的に大企業と呼ばれる日系メーカーで海外営業の仕事を4年間していました。「グローバル」な仕事として良く挙げられる海外営業ですが、イメージ先行な部分も多いため、私の体験をご説明したいと思います。

皆さんの海外営業のイメージはどんな感じでしょうか。以下みたいなことを想起する方が多いのではないでしょうか。

世間のイメージ:英語ペラペラ。みんな帰国子女。なんならマルチリンガル

実態:帰国子女は1割もいない。マルチリンガルは、数少ない中国人の人のみで、日本人ではいない。みんな「Weblio 英単語」「Google翻訳」のヘビーユーザー。

世間のイメージ:リモワ片手にビジネスクラスで優雅に出張。出発前は優雅にラウンジでワインを嗜む。

実態:リモワは重いし容量少ないから、サムソナイト(ソフトタイプ)のスーツケースのほうが人気。ビジネスクラス?何それ美味しいの?エコノミークラスの格安チケットしか使えません。ギリギリまでオフィスで仕事して、電車に飛び乗って、空港の免税品店で現地へのお土産を買ってると、搭乗10分前。爆買いしたお土産品担いで、搭乗口までダッシュ。そもそも、出張自体も毎月あるもんでもありません。

世間のイメージ:現地のお客さん相手に颯爽とプレゼン。バッチリ決まって、お客さん拍手。爽やかスマイルで握手しながら商談成立。

実態:日本人のペーペーにプレゼンなんか仕切らせてもらえません。現地の代理店のボスがお客さんと交渉をリード。割り当てられたパートを一生懸命英語でプレゼンするも、テンションの上がったお客さんは途中から現地語で質問してくる。「何言ってるんだろなーこの人達」と思いながら、現地の代理店の人とお客さんの激論を真剣な顔で聞いとく。やっと終わったら、お客さんから「高い、もっと値切って持ってこい。じゃないと競合と取引する」と散々言われ、代理店の人からも「日本帰って社内調整してこい。しくじるんじゃねーぞ」と脅される。

メーカーの海外ビジネスにおいて、基本的に現地のお客さんとの直接営業の形態は取りません。「山手線乗ってちょっとお客さんとこ行ってきます〜」という世界ではなく、(場所や期間にもよりますが)一回の出張で、数十万円かかります。Before コロナの時代では、お客さんとの商談は原則対面です。そう何度も何度もお客さんのところに日本から出張していたんでは、全くもって割にあいません。ですので、進出する国に自社の販売代理店や現地法人が存在し、現地のお客さんとの日々の細かいやりとりは販売代理店や現地法人が行います。但し、販売する製品の単価がよほど高額なものかつアフターケアが不要なものであったり、新規事業や新市場などの立ち上げ期などは直接販売の形態を取りますが、珍しいケースです。

日本にいる海外営業の人達の仕事は、販売代理店や現地法人にいる営業の方のサポートになります。

なので、日々、営業の方々とメールや電話会議でコミュニケーションしながら、あれせい・これせいに対応していくのがミッションになります。ちなみに、あれせい・これせいの中身は大体以下に分類できます。

・製品説明関連(あの機能ってこの理解で合ってるー?とか製品のプレゼン資料送ってーとかの問い合わせ対応)

・製品見積関連(見積書作ったり、複雑な仕様の場合、現地の営業の方と自社の技術陣の間に入って仲介役したり)

・製品出荷関連(注文書を社内システムで手配したり、現地と納期調整して工場に出荷指示出したり、輸出のための船積書類作ったり)

・お客さん対応(販売代理店や現地法人ではなく、製品を実際に買ってくれるお客さんのことです。お客さんがたまに日本に来たりすると、ツアーコンダクターとして、自社工場の見学や観光名所案内、会食のアレンジをします)

これが、海外営業です。海外営業に憧れている方は多いのですが、かなーり地味な仕事です。笑 でも、英語力の向上とか臨機応変に対応する力はとても磨かれます。海外営業を目指されている人のご参考になれば幸いです。